脳卒中 −高脂血症に多い合併症−

脳卒中を予防するためには、コレステロール、血圧、血糖値の管理が不可欠

早期発見が予後を分ける病気、脳卒中

脳卒中の種類

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり、破れたりすることで、体のまひや意識障害を引き起こすなどの症状があらわれる病気です。脳卒中には、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。

脳梗塞

 脳梗塞には、脳の血管にできた血栓が詰まることで起こる脳血栓、脳以外の場所でできた血栓が脳の血管に流れてきて詰まる脳塞栓があります。
 脳梗塞は、血栓が詰まって血液の流れが阻害され、脳の神経細胞が損傷を受けます。
 動脈硬化自体が関与する割合が高く、コレステロール値や中性脂肪値が高い人は、発症の危険性が高くなります。

脳出血

 動脈硬化によって弱くなった脳の血管に、高血圧が加わって、脳の血管が破れて出血を起こす病気が脳出血です。動脈硬化が背景にあるものの、主因は高血圧です。出血に伴って脳内に血腫ができ、これが脳の神経細胞を圧迫すると、損傷が大きくなります。

くも膜下出血

 脳を覆う軟膜とくも膜の間で出血が起こる病気がくも膜下出血です。脳の動脈にできたこぶが、高血圧によって破裂し、出血を起こします。
 脳卒中の中では、最も死亡率が高い病気です。

高コレステロール血症の方にとって危険性が高い脳梗塞は、血管が詰まることによって酸素不足が生じ、神経細胞が死んでしまい、詰まった場所によっては生命を失うこととなります。かりに死を免れたとしても、手足の麻痺による運動障害や、感覚障害、言語障害といった後遺症をもたらす恐れが高いです。

こんな症状が現れたら要注意!

 脳梗塞は、脳血管に血栓が詰まって、前触れ的な症状、発作が現れることがあります。次に示すような症状、発作が数秒〜数時間程度あらわれ、24時間以内に症状がなくなるもので、TIA(一過性脳虚血発作)と呼ばれるます。一時的な症状ではあっても、いずれ大きな発作を起こす可能性が高く、要注意が必要です。

目がかすんだり、ものが二重に見える。
左右どっちかの目が見えづらくなる場合と両目の場合とがある。
体の左右どちらかの手や足がしびれる。
ろれつが回らなかったり、左右どちらかの口の端から、口に含んだものをこぼす。
突然、力が抜け、手から箸やペンなどを落とす。
一定期間の記憶がなかったり、思い出せない。

また、以下の症状があらわれたら、くも膜下出血の疑いがあります。

普段、頭痛は無いのに、軽い頭痛が繰り返し起こる。
 割れるような激痛は、出血が起こった可能性があるため、大至急、病院へ。
ものが二重に見えたり、目がかすむ、ぼやけて見える。

脳卒中を防ぐ食事のポイント

 死に至ることもある怖い病気、脳卒中の発生には、高脂血症のほか、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が深く関与しています。病気とまではいかなくても、脳卒中の患者には血圧や血糖値、コレステロールや中性脂肪が高めの方が多い傾向にあります。
 血圧の高い人は、塩分の摂取量について制限する必要があります。血圧が高めの人は1日の塩分摂取量を7g以下に、高血圧症と診断されている方なら1日に5g以下を目標として、管理に努めなくてはいけません。
 糖尿病は動脈硬化をより早く進行させる原因となります。糖尿病の方は医師から指示されている、"指示エネルギー"をもとに1日の摂取カロリーを制限するようにしてください。コレステロールや中性脂肪も血糖値と合わせてコントロールする必要があります。
 高脂血症の人は、コレステロールの多い食品や動物性脂肪の摂りすぎに注意してください。