糖尿病 −高脂血症に多い合併症−

40歳以上の5人に1人がかかっており、合併症は全身におよぶ。

高脂血症と密接な関係があり、動脈硬化を促進させる病気

糖尿病とは

 食品に含まれる糖質は、消化・分解されてブドウ糖となり、体や脳が活動するためのエネルギー源として使われます。ブドウ糖は腸で吸収されて肝臓へと運ばれ、血液に含まれて体のすみずみに届けられます。この血液中のブドウ糖が増えすぎて、尿に糖が出る病気が糖尿病です。
 糖尿病で怖いのは、さまざまな合併症が全身にあらわれることです。中には生命の危険を脅かす病気もあります。  厚生労働省が実施した、平成9年の糖尿病実態調査によると、「糖尿病が強く疑われる人」は690万人にも上り、40歳以上になると5人に1人が糖尿病といわれ、今後、さらに増えることが予想されています。

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糖尿病の原因

 糖尿病は、先天性な理由やほかの病気が原因となって発症するケースもありますが、多くの場合、遺伝的な体質に加えて食べ過ぎや、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因となっています。このため、糖尿病患者の多くは、高脂血症を合併しています。血液中に過剰なブドウ糖があると悪玉(LDL)コレステロールが酸化しやすくなり、動脈硬化を促進することとなります。高脂血症との合併症の場合は、動脈硬化がより促進されることとなり、要注意です。

糖尿病の3大合併症

 糖尿病に特有の合併症として多く見られるのが、「糖尿病網膜症」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病性神経障害」で三大合併症と呼ばれます。  糖分の多く含まれた、ドロドロの血液は、栄養素を毛細血管のすみずみにまで送ることができず、さまざまな障害を引き起こします。

【糖尿病網膜症】
 網膜がおかされ、進行すると眼底出血を起こし、さらに網膜はく離を起こして失明することもあります。
 糖尿病を発症してから10〜15年で半数以上の人が網膜症を併発します。

【糖尿病性腎症】
 高血糖が長期間続くと、腎臓に血管障害や膜に変化が起きてきて濾過機構が破綻する病気。進行すると腎不全や尿毒症となって人工透析が必要となる病気です。
 糖尿病の発症から約15年で腎臓に障害が出始め、適切な治療をしないと糖尿病の発症から約30年で腎不全による尿毒症を起こします。

【糖尿病性神経障害】
 知覚神経や自律神経に障害が起こり、手足の感覚が鈍くなったり麻痺するほか、排泄障害や消化器症状などが起こります。
 糖尿病の発症から3〜4年で起こる障害です。

注意すべき症状

1.体がだるい、疲れやすい
 インスリンの働きが悪いため、ブドウ糖を利用できず、活動するためのエネルギーが不足している。

2.普通に食べているのにやせる
 ブドウ糖が正常に利用されず、常に活動エネルギー不足の状態が続くため。

3.のどが異常に渇く
 血液中に含まれる大量のブドウ糖を排出するため、尿が増えることから体内の水分が失われる。

4.排尿の量が増える
 血液中に含まれる大量のブドウ糖を排出しようと、尿の量および排尿の回数が増えます。

5.空腹感を強く感じ、たくさん食べる
 ブドウ糖が正常に利用されないため、活動するためのエネルギーを補おうと、空腹感を強く感じ、たくさん食べるのです。