コレステロールとはいったい何だ?

血液中のコレステロール値が過剰になると、高脂血症、動脈硬化を引き起こす原因となります。では、コレステロールは不要なのかというとそうでもない。

悪者扱いされるコレステロールだけど重要な役割を担っています

コレステロールって何だ??

コレステロールや中性脂肪はテレビや雑誌などで『不要なもの』なんて認識をもっている人が少なくありませんが、本当でしょうか?
これらの脂質は確かに取りすぎるとさまざまな病気の原因となりますが、まったく不要なものではありません。それぞれ私たちの体にとって非常に重要なものなのです。ではコレステロールや中性脂肪は、体内でどのような役割を担っているのでしょうか?

コレステロールは細胞膜の材料!

コレステロールは私たちの体内にだいたい100〜150g位含まれ、その一部が新しいものと入れ替わることによって生体機能が維持されます。このコレステロールは脳や筋肉を主として私たちの体内に広く分布しています。人間の体は約60兆個もの膨大な細胞から成り立っていますが、コレステロールはそれら細胞を構成する細胞膜を形成する主要な材料となるのです。
 また、コレステロールは生体機能を整えるためのホルモンの材料でもあり、副腎皮質ホルモン、男性ホルモンや女性ホルモンなどの重要な構成成分です。さらに食物の消化吸収に必要な胆汁の主成分である、胆汁酸の材料としても利用されているのです。ちなみに胆汁酸は肝臓で作られ、小腸での脂肪の吸収やビタミンの吸収などを助長しています。
 コレステロールが不足すると、細胞を健全な状態で維持できなくなり、免疫力が低下して病気に対する抵抗が弱くなったり、神経の伝達に障害が生じたり、消化不良を起こして下痢をするなどの体の不調を引き起こす原因となるのです。
 コレステロールは1日あたり1.5〜2.0g程度必要で、このうちのおよそ70〜80%が体内の臓器で、残り20〜30%を食物から摂取します。体内で作られるコレステロールのうち、60〜70%が肝臓で作られています。ほかに小腸、副腎皮質、筋肉などでも少量ですが作られます。食物から摂取するコレステロールは多かったり少なかったりするのですが、肝臓はそれにあわせて合成する量を加減調節する機能を持っているのです。こんな重要なコレステロールも、日常的にコレステロールの摂取量が多かったり、遺伝や糖尿病、ホルモン分泌異常などが原因となって肝臓の機能がうまく働かなかったり、食べすぎや運動不足でコレステロールが増加するような生活習慣を続けてしまうと・・・。体にいろいろな障害を引き起こす高脂血症となってしまうんですね。

コレステロール値は、高いときと低いときがある

 コレステロールは体の状態によって高いときもあれば低いときもあります。なので、一概にコレステロール値が高いから悪いとか、低いからよいとは言い切れないのです。

コレステロールが高くなる原因

 コレステロール値が高くなる理由には、食事から摂取するコレステロールが多い、または遺伝や糖尿病、ホルモン分泌異常などが原因となって肝臓の機能がうまく働かずに体内で作られるコレステロールが多いかのどちらかです。  コレステロール値が高くなる原因のひとつに挙げられるのは、細胞がLDLコレステロールを受け入れる機能(LDL受容体)や酵素などの働きが弱いこと。ほかに、胆汁や胆汁酸を作る酵素に関する機能が遺伝的に弱い人もいて、これもコレステロールを増加させる原因となります。また、肝臓がコレステロールを排出する機能が弱まると、必然的にコレステロール値が高くなります。また、腎臓が悪い(ネフローゼ症候群)と、腎臓の機能を肝臓がカバーしようとコレステロールを多く合成し、結果としてコレステロール値が高くなることも。
 これらのほか、糖尿病、甲状腺機能低下症などもコレステロール値を高くします。

コレステロールが低くなる原因

 コレステロールが低くなる原因として、肝臓の機能が低下していることが挙げられます。また、体質的な問題で肝臓からコレステロールを血液中に送り出すアポタンパク質が少ない場合、がんなどのコレステロールを消費する病気になった場合などもコレステロール値を低下させる原因となります。このため、食生活や運動量が変わらないのにコレステロール値が低下してきたら、何らかの病気にかかっていないか調べてみることが必要かもしれません。
 ほかに、甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが増える病気)や、遺伝的な理由によってコレステロールの吸収がもともの弱い場合なども、コレステロール値が低くなる原因となります。
 コレステロール値は高すぎるのはもちろん体に害を及ぼしますが、逆に低い場合には免疫機能に障害が出やすく、病気を引き起こす原因ともなりますので注意が必要です。