脂肪肝 −高脂血症に多い合併症−

肝臓の細胞に中性脂肪が異常にたまる病気が脂肪肝

原因の大半は肥満と飲酒で、糖尿病の人も注意が必要な病気

脂肪肝とは

 肝臓には本来、中性脂肪をエネルギー源として蓄えるはたらきがありますが、中性脂肪が肝臓の全体重量の5%以上となると、脂肪肝と診断されます。重量では5%ですが、これは肝細胞の30%にあたります。例えると、肝臓がフォアグラのような状態です。
 正常な肝臓の脂質は、約3分の2がリン脂質で占められ、主に細胞の膜を構成し、残りの約3分の1がコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸になっています。ところが脂肪肝では、中性脂肪が異常に増加して大部分を占め、コレステロールやリン脂質が蓄積することはほとんどありません。
 肝細胞に大量の脂肪がたまると風船のようにふくらみ、肝細胞どうしが圧迫しあい、細胞間の血管が圧迫されて血流が悪くなります。このため、肝細胞に十分な酸素や栄養素が届かず、機能低下を起こします。
 脂肪肝は、年代では30〜70代に多く、男性では40歳前後、女性では40代以降の中高年に多発しています。性別では、男性の方が多く発症しています。

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脂肪肝の原因

 肝細胞に中性脂肪が過剰にたまりすぎるのが、脂肪肝の原因です。脂肪や炭水化物は活動する際のエネルギーとして消費されますが、余った分は中性脂肪として肝臓に蓄えられます。つまり、過剰なエネルギー摂取が中性脂肪を増やす原因となるのです。
 脂肪肝になりやすい人として、以下のような方が該当します。

1.肥満な人
 太っている人はインスリン抵抗性(インスリンが十分効果を発揮できない)があることが多く、肝臓での脂肪酸燃焼がわるく、脂肪がたまりやすい。肥満の人の発生率は80%以上とも言われます。

2.お酒好きな人
 過度なアルコールの摂取は、肝臓での中性脂肪の合成を促します。多量にアルコールを飲む人の8割は脂肪肝にかかっているとも言われます。

3.甘いものが好きな人
 糖質の多いお菓子や、甘い果物の食べすぎは、中性脂肪を増やします。

4.運動不足な人
 食べ物から摂取したエネルギーが消費されないため、肝臓に蓄積されます。

5.糖尿病患者
 インスリン感受性の低下による糖代謝の乱れが原因です。インスリンの不足によって脂肪の分解が進行、それを肝臓が取り込んで中性脂肪の合成が促進されます。